子どもの生活に関すること
保育園
入院にともなう保育園、幼稚園のことや学校についてを掲載しています。
休園や退園について
幼稚園や保育所はその設置者によって、長期欠席の場合に休園が可能な場合(保育料減額の特例制度がある場合があります)と一度退園しなければならない場合があります(表)。主治医に入院期間を確認した後、施設長などに制度について確認してみましょう。もし退園となる場合であっても、可能であればクラスメイトとお手紙を通した交流などをもち続けたい等、子どもの希望を伝えてみるのも良いと思います。
表 長期欠席時の規定例
3~5歳の子どもにとって同年代のお友だちとあそぶこと
病院にはいわゆる「院内学級」といった小中学校はたいてい設置されていますが、幼稚園や保育所は併設されておらず、プレイルームなどで親子一緒に交流をすることはあっても、子ども達だけで過ごすことができる環境がない病院が大多数です。また、同年代のお友だちが同じ病棟にいない場合もあると思います。
どんな年齢でも、年が近い子ども同士の交流は、一緒に遊んでワクワクする気持ちや、お友だちが頑張っているから僕も頑張ろうという気持ち、お友だちのために〇〇してあげたいなといった相手を思いやる気持ちなど、子どもの心や社会性を育む大切な機会です。幼稚園や保育所のお友だちと可能な限り交流を続けることをおすすめします。
幼稚園や保育所のお友だちとの交流
交流の持ち方には、園を通す、保護者を介す、面会や外泊などの機会に直接会う、といった方法があります。また、子どもの希望や様子に合わせて、保育所で使っていたものと同じぬりえやおもちゃを準備する、保育所と同じ生活リズムで生活する、保育所の行事に合わせて同じような体験を取り入れるといったことも、直接会えなくても“もといた場所とのつながり”を感じることにつながるかもしれません。
多くの病院には保育士が在籍しています。日々のあそびだけでなく、季節に合わせた体験や園との交流の仕方など相談してみましょう。
学校
子供にとって学校は家庭と同様に日常を象徴する居場所であるため、小児がん治療を乗り越えて学校に戻るという目標は辛い入院治療に耐える力になります。また、学校に戻ることを視野に入れた関わりは、長い入院生活の大きな心の支えになります。
できるだけ早い時期に、お子さんの病気のこと、治療方針、入院期間について伝えましょう
小児がんは治療優先になりがちですが、お子様が退院して学校へ戻っていくことを見据えて、学校の先生たちにも協力してもらうことが大事です。そのために病気と治療方針が分かったらできるだけ早い時期に、担任の先生と養護教諭、管理職である学年主任と教頭先生・校長先生へ伝えることが、治療後のスムーズな復帰の土台となります小児がんの子どもに接した経験のある教員はとても少ないため、もしかしたら困惑されるかもしれません。詳しい病名を伝えたくないときは学校、クラスメイトの保護者、クラスメイトの方に“血液の病気”“頭にできものができた”“お腹にかたまりができた”などと表現するのも選択肢です。
学校の先生にもお子様について共通認識をもってもらうために、治療方針と入院期間の目安も報告しましょう。学校の先生たちは、クラスメイトへの伝え方やテスト・学校行事への参加方法などについて教育のプロの視点で考えてくれます。入院しても学校とつながっておくことができるように“配布されるプリントは家に郵送してほしい”“ロッカーの位置をそのまま残しておいてほしい”“席替えしても座席を確保してほしい”など具体的な配慮事項を伝えるとよいでしょう。
子どもの気持ちを第一に、友達とつながりつづけることを支えましょう
入院中も元いた学校の友達とつながりつづけることは、お子さんにとっても、そしてお友達にとってもたくさんのメリットがあることがわかっています。1)一方で、お友達の学校生活と自身の生活のギャップを感じたり、久しぶりに連絡をとったり、会ったりするときのかかわり方に戸惑うこともあります。大切なことは、お子様の気持ちを最優先することです。学校にどう説明するか、クラスメイトにどこまで詳しく伝えるかなどはしっかりお子様と話し合って決めましょう。
表 元いた学校の友達と小児がんの子どもが入院中に「つながる」ことへの気持ち
お子様とご家族の周りには、学校の先生と病院の関係者(医師、看護師、院内学級教員、リハビリテーション士、薬剤師、保育士、チャイルドライフスペシャリスト、メディカルソーシャルワーカーなど)がたくさんいて、お子様にとって最善の方法を一緒に考えてくれます。不安や悩みを抱え込まないで気軽にご相談下さいね。学校に戻ってからもお子様が特別扱いではなく“ちょっとした配慮を受けながら”安心して学校生活を送れる社会の実現を一緒に目指していきましょう。
引用文献
1)Asami Nagatomi, Wataru Irie, Takumi Sasaki, Akiko Sugahara, Yoji Sasahara, Hitoshi Shiwaku. Perceptions of relationship between school-aged children with cancer and their previous classmates during long-term hospitalization. Pediatr Blood Cancer 2022; 69(S4): S82.
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- 国立がん研究センター がん情報サービス 復学後の学校生活について
- 国立がん研究センターが運営する公式サイトです。常に最新版が公表されています。
- 診断と治療社 チャイルドヘルス 24巻6号(2021)
- 特集みんなで治す子どものがん~多職種の特性を生かしたケアの最前線
保育士や学校関係者向けに発行されている雑誌です。成育関係者が執筆しています。 - スクリエ 復学支援プロジェクト
- 入院したときに学校やクラスメイトに伝えるときや、学校に戻るときのことについての、パンフレットや
絵本が紹介されています。