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臨床試験

治療をはじめるにあたって臨床試験の同意をしたのですが、臨床試験というものがどういうものかよくわかりませんでした。教えていただけますか?

 “臨床”とは実際に行われている診療の事です。臨床試験は、新しい治療方法や薬について、その治療効果や安全性を確かめるために科学的な根拠に基づいて計画された方法で行う治療の事を指します。“臨床試験”という言葉だけを聞くと、「実験をしている」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。より良い効果が期待できる新しい治療法やお薬が、本当に期待された通りの効果がでるかどうかは、実際に行ってみないと分からないといった面もあるため、“試験”という言葉を用いています。

 以前から、小児がん治療を行う臨床家は、治療成績の改善のために標準的な治療と、より良いと思われる新規治療方法とを比較し、より優れていた治療を次の標準治療にしていく、ということを積み重ねて、治療成績を向上させてきました(比較試験といいます。

図:比較試験の概略

 どちらの治療が優れているかがはっきりするのには何年もの時間がかかるため、今では標準的になっている治療も、過去何十年にわたる、こうした比較試験により作られてきたものなのです。
現在の小児がん治療では、治療成績だけでなく、より急性期や晩期の合併症が少ないこと、治療中・治療後の生活の質(QOL)が優れていることも、標準治療を決める上での重要になってきています。こういったことを総合的に考えて、臨床試験が計画されているのです。
お子さんの参加した臨床試験は、将来、同じ病気になった別のお子さんの標準治療となって、治療の向上に役立っていくことでしょう。

 臨床試験では、新しい治療法やお薬の使い方だけではなく、副作用が起きないかについて注意深くみていくことも決められています。安心して治療に臨むことができるよう、担当の先生からよく説明をお聞きになって、納得した上で臨床試験に参加することが大切です。

私がお答えしました

宮城県立こども病院 血液腫瘍科
医師  力石 健

最終更新日:

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国立がんセンター がん情報サービス 臨床試験について
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