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子どもの生活に関すること

治療による見た目の変化

見た目が変化する治療を受けるお子さんのご家族へ

 がん治療では、脱毛をはじめ皮膚や爪など見た目に変化が現れることがあります。しかし、すべての治療で外見が変化するわけではありません。また見た目に現れる症状は、治療が終わると回復することがほとんどです。ただし、長期間に渡り何度も繰り返して治療を行ったり、線量の多い放射線治療では、十分な回復が見込めないこともあります。わからないことが多く色々調べたくなると思いますが、インターネットの情報は古かったり不正確なものも多いので、どのような変化があるのか、どのように対処すればよいのか、わからないときは、主治医や担当看護師に確認・相談してください。「見た目のことくらいで相談なんて」と考える方もいますが、お子さんにも親御さんにとっても大切な問題です。どうぞ遠慮することなくご相談ください。

 見た目が変わることを気にする子、気にしない子、様々です。年齢やそれまでの外見へのこだわりによっても違います。むしろ親御さんの方が、周囲にがんだと知られてしまうのではないか、かわいそうな子だと思われるのではないか、などと気にして、何とかして周囲に知られないよう隠したいと思うことが多いです。親御さんがお子さんを守りたいとの気持ちから、脱毛を隠そうと必死に帽子やウイッグを勧めるのを病棟ではよく見かけますが、どのお子さんも自分の姿に周囲、特に親御さんがどのように反応するかについて、敏感に察知し、親御さんの気持ちとは裏腹に「脱毛は悪いことだ」「自分の今の姿はダメなんだ」と思ってしまうことがあります。ウイッグをかぶった姿に「かわいくなった」と声をかけられ、「脱毛しているとやっぱりかわいくないんだ」と思った、という子もいました。

 このような体験を通じてお子さんが自分自身に自信が持てなくなったり、そのせいで他人とのコミュニケーションに苦手意識をもってしまうことがあります。このような影響を避けるために、外見の変化は<治療を頑張ってきたから><お母さんは今の姿も好き>など、ポジティブにとらえられるように促すとよいでしょう。



 大切なことは、どんな姿に変わってもご家族にとってお子さんは誰よりも愛おしく大切な存在であることを言葉や態度で伝えていくことです。脱毛した頭を「この子の頭、手触りがいいんですよ」と笑いながら撫でていたお母様がいらっしゃいました。思春期の難しい年ごろのお子さんでしたが、親御さんに隠れるようにしながらも照れたような笑顔を見せていたのが印象的でした。どのような姿でも自分を肯定的にとらえてくれる親御さんの気持ちがお子さんの自信へとつながります。

 ご家族の気持ちが疲れているときは、それが難しいこともあるかもしれません。その時は近くのスタッフに気持ちをお伝えください。スタッフがご家族と一緒にお子さんが自身の体験を肯定的にとらえられるようお手伝いをいたします。

私がお答えしました

国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター
公認心理師・臨床心理士 藤間 勝子

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