入院生活を知る

生活に役立つ情報を まとめています。

子どもの生活に関すること

痛み

子どもの痛みに対して親が力になれること

 まず最初に、痛みを和らげる治療やケアについて簡単にお話しします。痛みを緩和する治療としてみなさんの頭に真っ先に浮かぶのは“お薬による治療(鎮痛剤投与)”ではないかと思います。軽度の痛み、中等度の痛み、強い痛みなど、痛みの程度に応じて効果的なお薬を選びます。また、小児がん治療には針を刺す検査や処置も多いのですが、注射の痛みを感じにくくする塗り薬もあり、とてもよく効くので子どもたちには“マジッククリーム”と呼ばれたりします。このように、薬を使った治療は、医療者が主に行います。

 お子さんの痛みに対して、親御さんができるケア、そして、親御さんにしかできないケアはたくさんあります。 図1に示したように、同じ痛みを経験していても、痛みを感じにくくさせたり、痛みを強く感じさせたりすることがあります。痛みを感じにくくさせるためのケアは、親御さんの腕のみせどころです。お薬による治療と併用することで、より効果が発揮されます。



お子さんが大好きな親御さんがそばにいること

 痛みを訴えている子どもに何もできないと言われる親御さんも多いのですが、お子さんにとっては親御さんの存在自体が1番のケアです。親御さんがそばにいるときは痛みを感じないのに、面会が終わると途端に痛みを訴え始めるということはよくあります。さみしさが痛みを感じやすくさせるのです。



楽しいことを一緒に考えたり、すること

 これは“ディストラクション(Distraction)というケアで、痛み緩和ケアの教科書にも載っているほど効果的なケアです。一緒に楽しいことを考えたり、おしゃべりをしたり、テレビを見たり、絵本を読んだり、ゲームをしたり、そういった日常的な関わりによって痛みを和らげることができます。

やさしくマッサージ

 痛いところがあると、大人でも自然とさすって対処したりしますよね?お子さんの痛みのある部分をやさしくマッサージすることが痛みを和らげることは、科学的にも証明されています。大好きなママやパパからのマッサージは魔法の薬です。(お子さんが痛いところを触られて嫌がる場合はその限りではありません)

ママとパパが落ち着くこと

 痛みがあるお子さんを見ていると、胸が締め付けられるようなお気持ちになるでしょうし、病気が悪くなっているサインかもしれないと不安になりますよね?お子さんは大好きなママとパパが元気でいてくれると安心します。不安は感染症だと喩えられますが、親御さんの不安は子どもにうつり、不安は痛みを感じやすくさせます。親御さんたちもご自身の辛い気持ちを誰かに話したり、時には少しの時間でもお子さんを誰かに預けて気分転換したりして、親御さん自身をケアしてあげてください。常に全力疾走していては、誰でも息切れしてしまいます。自分自身へのケアは、お子さんへのケアにつながります。





最後にもうひとつ、お伝えしたいことがあります。

子どもに痛みをがまんさせないこと

 子どもは信頼した人に1番正直に痛みを伝えます。一番最初に痛みの存在に気づけるのは、医療者ではなく親御さんだという報告もあります。また、子どもは痛いといったらおうちに帰れない、もっと痛いことをされるかもしれないと誤解し、医療者の前では痛みを隠したりすることもあります。ですから、お子さんが痛いと言ったら、がまんさせずにすぐに医療者に教えてください。また、お子さんにもがまんしなくていいよと伝えてください。お子さんは、入院生活、治療経験のなかで、いろいろなことをがまんしています。ですから、痛みはがまんさせないでいいのです。

私がお答えしました

埼玉県立大学
小児看護専門看護師 平田 美佳

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