子どもの生活に関すること
ステロイドの影響
空腹へのケア
ステロイドにはさまざまな副作用がありますが、その一つに食欲が増すというものがあります。ステロイド使用後1週間程度で食欲が増すと言われ、年少のお子さんの親御さんほど、空腹の対処への困難感が高いといわれています。食欲はステロイドの減量とともに少しずつ落ち着きますが、患者さんはどうしようもない空腹を感じます。私は病棟で、普段より1.5~倍近くのミルクを欲しがる赤ちゃん、毎食後に冷凍ポテトを心待ちにしている幼稚園児、常にスナック菓子を食べたい気持ちを抱いている小学生、給食間食後に冷凍パスタを1人前食べている高校生と出会いました。ステロイドにより脂質の代謝も影響を受けるため、脂肪がつきやすくなります。そのため患者さんの満足するだけのものをあげると想像以上に体重が増えます。治療で食欲が落ちることを考えると食べられるときに食べておいた方がよいといった考え方もありますが、食べ過ぎは高脂血症や高血糖、脂肪肝による肝障害などの原因となり、化学療法が中断してしまうリスクもあるので注意が必要です。
食事面での工夫
給食の他に間食をしても良いか、良い場合も内容や量は患者さんによって異なるので医師・看護師に相談してみましょう。間食の内容としては、「小さい袋のおやつを1日1つまで」「野菜スティックはOK」「ゼロキロカロリーのゼリーを1日1個」などが例にあがりますが、ルールを決めて守るようにしましょう。食後は早めに歯磨きをして、食事は一旦終わりという区切りをつけてだらだら食べを防ぐのもよく取り入れる方法です。赤ちゃんの場合、ミルクを増やすのではなく合間に水やお茶などをあげたり、ミルクしか飲まない場合は、普段よし少し薄めに作ったミルクをあげるのも1つの手です。退院後もステロイドの使用が続き、食事を作る際の工夫などを知りたい場合には栄養士の話を聞くことができる場合もあります。ご希望があればスタッフにお声がけ下さい。
その他の工夫
何かに集中している間は空腹感が紛れます。お子さんの好きな遊びをしたり、プレイルームなどで同年代のお子さんと遊んだり、食事以外に集中できることを見つけてみると良いと思います。病院に保育士さんがいるときには、ぜひ相談してみましょう。
気分の浮き沈み
ステロイドの影響により、機嫌が悪くずっと泣いていたり、無口になったり、テンションが高くなって夜もなかなか眠らないということがあります。食欲と同じようにステロイドを減らすと少しずつ落ち着きますが、浮き沈みのある患者さんの側で一緒に過ごす保護者の方もしんどい気持ちになることが多いと思います。
お子さんの機嫌が悪かったりハイテンションになってなかなか寝付けない場合には眠くなる薬を使える場合もあります。また少し離れて一息つける時間を設けることも大切です。院内学級に通ったり、保育士やチャイルドライフスペシャリストなど、病院に遊びにかかわるスタッフがいる際にはそうした職種の方と遊んだりして気分転換を図ったり、保護者の方の辛い気持ちは看護師や心理士が伺うこともできます。ご無理をなさらず、スタッフに気軽に声をかけてください。
引用文献
1)貝野瀬 友希,佐藤幸子,今田志保.ステロイド剤と子どもの体重の変化・食欲との関連及び家族の困難感の検討.第19回北日本学術集会プログラム・抄録集,2016:39.