入院生活を知る

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親の生活に関すること

抗がん剤の曝露対策

 抗がん剤は患者さんの体に投与されたあと、尿や便などの排泄物や汗、唾液などの体液からも排泄されるため、抗がん剤を投与されている患者さんの身の回りの人にも少なからず影響があると言われています1)。お子さんの場合、特に年少ですと自分で身の回りのことをすべて行うことは難しく介助が必要になること、理解が難しい場合があることから、ご家族の方の対策も必要になります。

おむつ交換・トイレの時

 おむつ交換のときには、手袋をつけるようにし、袋に密封して破棄するようにします。トイレに行けるお子さんは、座って排尿するようにしましょう。トイレの蓋を閉じて流すようにすると飛散のリスクが軽減します。おむつ交換、トイレでの排泄いずれにおいても、治療後48時間は手袋をするなど、注意が必要です2)。 薬や排泄物、吐物が付着した衣類やシーツは単独で予洗いした後に、他の洗濯物と一緒に洗うようにしましょう。

 入院治療中は様々な抗がん剤を使用することが多いため、排泄物からの曝露には注意し、抗がん剤内服がある場合にはしっかり対策をするようにしましょう。外来通院中は、入院中とは違い、抗がん剤の量が少ない場合が多いため、あまり心配せず、普段の生活で構いません。

ご家族の防護について

 皮膚、鼻・口、目を守ることを意識して、基本的にはマスクと手袋をしましょう。
お子さんにメルカプトプリン(ロイケリン®)のような抗がん剤の粉くすりを飲ませるときには、開封時に粉末が飛散しないように、目の高さより低い位置で開封するようにしましょう3)。可能であれば目を守るゴーグルやアイシールドがあるとなお安心でしょう4)。

妊娠中、妊活中のお母さん

 抗がん剤は胎児にも影響がでる恐れがあるため、きちんと手袋などをして、できるだけ曝露のリスクを減らしましょう。担当の医師や看護師にご相談下さい。

*病院毎にやり方や決まりが異なる場合があります。

引用文献
1)野田優子,古賀友紀,上田圭希,他.小児がん患者付き添い家族における抗がん剤曝露の現状.日本小児血液・がん学会雑誌 2019;56(3):319-324.
2)日本がん看護学会,日本臨床腫瘍学会,日本臨床腫瘍薬学会編.在宅におけるHD(Hazardous drugs) 
投与患者のケア がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン,金原出版株式会社,2019,pp116-118.
3)野村 政孝:高知大学医学部付属病院 抗がん剤治療中におうちで気をつけること
4)Lester J. Safe handling and administration considerations of oral anticancer agents in the clinical and home setting. Clin J Oncol Nurs. 2012;16(6):E192-E197. doi:10.1188/12.CJON.E192-E197

私がお答えしました

聖路加国際病院
看護師/日本小児がん看護学会認定 小児がん看護師 綿貫 由夏

最終更新日:

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