入院生活を知る

生活に役立つ情報を まとめています。

親の生活に関すること

お父さんの気持ち

 お子さんの病気に対して感じること、悩むことは、親御さん一人一人、それぞれです。その感じ方、考え方は家族内での役割や性別による脳の構造の違いによっても影響を受けるため、お父さん、お母さんでは捉え方や、表現の仕方が異なることがあります。特にお父さんは、様々な感情を抱いたとしても、強く、たくましくあろうとふるまい、実はお母さんと共通する心配も多かったりしますが、こうした心配は、言葉として表現されないこともあります。


表 お父さんが心配に感じていることの例

 業種や職場の環境によってお子さんの病気に対してお仕事をどのくらい調整できるか、また相談に乗ってもらえるかは、異なると思いますが、治療は長期間になる場合が多いため、職場の方にお話することをおすすめします。また、利用できる社会制度や経済支援についての情報提供など、病院のソーシャルワーカーに相談することができます。
 お子さんに会えても、お子さんに点滴がつながっていたり、生活上の制約があったりすると、お子さんとどんなふうにかかわったらよいか、遊んだらよいかに戸惑われるかもしれません。遊びの際の留意点は医療者にご確認いただければと思いますが、入院前と同じようにお子さんと接することがお子さんの安心感につながります。たとえ直接会えないときも、お父さんとお子さんでオンラインゲームでつながったり、SNS上で交流したり、電話、メール以外にもいろいろなつながり方があります。お父さんとお子さんにあったつながり方を、ご家族で考えてみてください。

お父さんの周りのご家族の方へ

 直接会ってじっくり話す機会が減ると、お父さんが今どんなことを考えているか、知ることが難しいと感じるかもしれません。もし、お父さんが、例に挙げたようなことについて気にしていると感じたら、お父さんの今のお仕事の状況を尋ねたり、お子さんや付き添っているご家族の様子をお伝えしてみましょう。お父さんの安心につながったり、一緒に考えるきっかけとなるかもしれません。

参考文献
1) da Silva FM, Jacob E, Nascimento LC. Impact of childhood cancer on parents’ relationships: an integrative review. J Nurs Scholarsh. 2010;42(3):250-261. doi:10.1111/j. 1547-5069.2010.01360.x
2)入江 亘, 小川恵理子, 大川智子, 山本光映, 塩飽 仁, 小澤美和. 小児がんで入院している子どもの父親が抱く入院生活の中での関心事, 2020;79(1):66-73.
3)原口昌宏,竹内朋子.慢性疾患患児の父親の心理特製および対処行動に関する国内外の文献レビュー,2019;28:240-247.

私がお答えしました

東北大学大学院医学系研究科 小児看護学分野
看護師 入江 亘

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