Q&A

実際的なことは個々の病院の 状況によって異なりますので、
専門職の皆さんに 相談してみましょう

#1 妊娠への影響について話す:中学生         子ども(女性)が中学生です。治療による妊娠への影響について、子どもにどのように伝えるかとても悩みます。伝えるべきでしょうか。

回答

 妊娠への影響について本人に伝えることはとても難しいことだと思います。
実際に医療現場で伝えるとき、私たちスタッフもどのように伝えるべきか大変悩みます。

 大切なことは、病気の有無にかかわらず、妊娠できる期間には限りがあること、そして治療によってその期間が短くなる可能性があること、がんの治療によって、将来生まれる子どもの先天異常のリスクが高まることは報告されていないことについて、伝えることです。これから先にどんな可能性があるかを知っておくことは、子どもにとって人生設計や対策を講じるためのヒントとなります。

 子どもに伝えるタイミングや内容、方法は、多職種スタッフと保護者の方とで一緒に考えて導き出していきましょう。どんな治療のどの段階かによって、伝えるべき内容は異なるかもしれません。近年はがんの種類や治療時の年齢、治療の内容を考慮して妊孕性温存療法(妊娠する能力を温存する方法)を行うのが主流です。中学生であれば、ご本人に説明して納得した上でご協力いただく必要があります。一方で温存療法が難しいケースでは、今後のフォローアップをしていくことなどについてお話していくことが大切となりますが、どのタイミングでお伝えするかについては、治療中の子どもの状態や子どもが知りたいと感じているかなども考慮したうえで考えていきましょう。
 また、妊娠についてご家族でお話をする際には、絶対に子どもを作って欲しい、子どもを産んでほしくない、結婚しない方が幸せだ…など、妊娠・出産に対する親の価値観が入り込みすぎないように心がけることも大切です。
 親の思いに応えようと子どもは窮屈な思いをするかもしれません。

私がお答えしました

東北大学病院 小児腫瘍センター
看護師 杉本 千夏

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