Q&A

実際的なことは個々の病院の 状況によって異なりますので、
専門職の皆さんに 相談してみましょう

#08 復学時のウィッグの使用
治療が一段落し復学することになりましたが、まだ髪が生えていません。ウイッグで通学するときに気をつけることはありますか

回答

 十分に髪が伸びる前に、帽子やウイッグで復学・復園する方がほとんどです。この場合、「見た目の違いを周囲にどのように説明するか/しないか」を学校や園の先生方と事前に相談しておくようにします。小学校低学年までのお子さんでは、周囲に「なんで髪がないの」などと聞かれたときに自分で説明できず、答えられなかった経験が恐怖となって残ることがあります。お友達に聞かれたときに何と説明するか事前に決めておくとよいでしょう。例えば「治療を頑張った時に髪が抜けたけど、これから生えてくるんだよ」などです。「また、髪の毛のこととか、誰かに聞かれたら、お母さんから説明するから教えてね」など伝えておくのも安心です。学校や園の先生方にも見守りをお願いしておきます。小学校中学年以上では、友達や周囲にどのように説明したいのかを本人と相談し、方法を検討しておきます。

 中学生・高校生になると校則との兼ね合いが出てきます。眉を描く化粧などが必要であることを事前に説明しておくとよいでしょう。また、がん患者さんでは多くはありませんが、ウイッグ姿を後ろから見られているのが気になるという子もいます。学校側は配慮として最前列を準備することがありますが、本人の気持ちが落ち着かないようならば、後ろの席にしてもらうのも方法です。

 体育や部活動などで激しく活動する時にウイッグがずれることが心配な場合は、ウイッグ用の両面テープを使用したり、髪が伸びてきているならばピンでとめたりします。軽い運動程度であればあまり心配しなくても大丈夫ですが、不安な時はまず自宅で予行演習をしてみましょう。水泳ができるかお風呂で試したご家族もいます。

 修学旅行など宿泊を伴う活動の際には、本人の意向も確認しながら方法を学校と相談してください。入浴については、教員用の浴室を利用させてもらうことも方法です。またどうしてもウイッグを脱ぎたくないならば、そのまま就寝ということもできますが、これも事前に自宅で試してみるとよいでしょう。寝る時だけ帽子に着替えて、という子もいます。

 大学生でも帽子で受講すると事情をしらない教員から室内での着帽を注意されることがあります。事前に学生生活課等に相談し、許可を取っておくと安心です。


私がお答えしました

国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター
公認心理師・臨床心理士 藤間 勝子

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